週刊少年ジャンプ  第31〜32号 (07/16)

NARUTO
 サクラの描写がいちいちえろいなあ。倒れ方といい、縛られ方といい……まさかサクラにそういう属性を持たせるとは(どういう属性だよ)。サソリは美少女じゃなくて残念でした。個人的には結構クセのあるミランダタイプを予想していたのですが。外見が変わっていない、ということは、あのサソリも傀儡である可能性もあるかな?

ONE PIECE
 フランキーが強いというより、ネロが迂闊なだけにしか見えない……(実際そうなんだと思いますが)。ところで任務を忘れて相手を殺しかけたのはブルーノも同様なのですが、こちらは六式が全部使えたおかげでなんとか命の危険は免れたようです。意外と甘いなCP9よ。
 ウソ……そげキングの最後の思わぬ活躍は良いですね。今まで誰も出し抜けなかったCP9を最初に出し抜いたのは、メンバー中最弱の男のヘナチョコ技だった! というか運動能力的にとてつもなく高いレベルにいる奴を出し抜くためには、運動能力で対抗するよりセンサ・入力系統の隙につけいる方が戦略的に正しいのは「寄生獣」で実証されている(?)ので、ウソップの煙幕はナイス判断だったと思いますですよ。

BLEACH
 ンフーこのオヤジどもはどうですかな! 一心はまずまずのオヤジですが、竜弦は意外と質のよろしくないオヤジでありますぞ。今回この漫画には二体のオヤジが出品されましたが、正直片方は極上のオヤジとは言い難い。オヤジにも良いオヤジ悪いオヤジ普通のオヤジと数種類存在しますが、こやつは香りは良いオヤジでも味はそれほど良いオヤジではなさそうな感じでございますな! まぁ悪いオヤジとは言いませんがせいぜい普通のオヤジくらいなので素材としてはまぁ一流半といったところのオヤジでしょうか。

 現代の少年漫画界には毎日のように新しいオヤジが出荷されているわけですが、それらのオヤジの質の見分け方にはふたつのポイントがあります。それ即ち味と香り。これらは普通の魚介類と違って新鮮なら良いというものではなく(そもそもオヤジという素材自体が熟成を愉しむ存在ですからな)、時間が経てば経つほどに熟成される場合もあれば、なるべく新鮮なうちに頂いた方が美味しい場合もあるのです。だからオヤジはそれぞれのオヤジに合わせて賞味時期を慎重に調整する必要があるのですが、その辺の話はとりあえずプロに任せておいて味と香りの説明に入ります。

 まず先に香りの説明をすると、これは即ち「最強の香り」です。オヤジと言えば最強と言われるほどにオヤジの強さ、特に物語内での「無敗性(「オヤジが強い」と言うよりは、「オヤジに勝てる奴がいない」と言う方がニュアンスとしては正しい)」は重要な要素なのですが、これがオヤジが放つ匂いなのです。どんな劣勢に陥ったとしてもササッと敵を片付けて余裕の笑みを浮かべるオヤジ達。オヤジは主人公にとって「越えるべき壁」なのですから、強いのは当たり前。目標はできるだけ高く遠くに存在していなければならないのです。これがパッと見だけで判断できるファクター、比較的誰にでもすぐ区別がつくファクターであるところの「香り」です。確かにスメルが良い方が上質なオヤジであることは論を待ちませんが、しかし素人はこの「香り」だけを半断材料にして本質を見誤ってしまいがちなのであります。

 多くの食材がそうであるように、オヤジにとっても最も重要なのは「味」であります。これはすなわち「苦渋の味」です。オヤジが背負ってきた悲しみ、苦しみ、成し遂げられなかったこと、これらの要素から染み出してくる苦味と酸味。素人はオヤジの発する鼻をくすぐる最強の香りやそれに伴う口当たりの良さに誤魔化されてしまいがちですが、この「苦渋の味」こそがオヤジの真の醍醐味であり味わいどころでもあるのです。単に最強なだけなら、何もオヤジである必要はなく、師匠でも美形ライバルでも他に活きの良い素材がいくらでも存在するのですから。

 オヤジはオヤジと呼ばれるだけあって主人公よりもずっと深く長い過去を持っています。そしてその多くは波乱と苦痛と涙とほんのちょっぴりの幸せに満ちています(でなければ強くなるわけがないのですから)。これらの不幸を乗り越え、飲み込み、なおかつグッと笑って何も悩みなんてなかったような顔をして戦うのがオヤジという生物であり、その戦いぶりや強さというスメルが主な愉しみ方であることは否定しません。しかし、極上のワインの中には常にほんの少しのほろ苦さが感じられるように、オヤジがひとたび後ろを向くと、その背中からは彼が今まで経験してきた様々な苦難の味が染み出してきます。一度味わってみればはっとすることでしょう、今まで単に強くて頼れるだけだったオヤジから、こんなにも苦々しい味わいがするのですから!

 そしてこの苦味はやはり香りと同様に「超えるべき壁」としてのオヤジにとって必要不可欠なものであります。オヤジを越えるとはどういうことか。それは単に強さの数値で上回るということでは決してありません。オヤジができなかったこと、護れなかったもの、諦めてしまったものを主人公が達成し、護り、掴み取る。これが「オヤジ越え」の本質であるはずです。そしてその本質を形作るためには、オヤジにはできなかったことや、護れなかったもの、諦めてしまったものが必要なのです。オヤジは単体でも充分に味を愉しめる素晴らしい素材ですが、それと同程度かそれ以上に、主人公というメインディッシュの引き立て役としても存分に活躍してくれるのです。

 そしてそういう観点で見ると、今回出品された石田竜弦と黒崎一心はどちらもまず香り(=強さ)の点においては文句のつけどころがないことがわかるでしょう。一心はまだその実力を発揮していませんが、グランドフィッシャーを前にしてのあの余裕っぷり、只者であるはずがありません。竜弦については言わずもがなです。しかし味の方を吟味してみると、一心はともかく竜弦は少し落ちることがわかっていただけると思います。一心は過去に妻(主人公の母親)を亡くしており、彼なりに悩み苦しんだ挙句、最終的に今のような能天気なポーズを取る(悩みを乗り越える)ことに成功しています。しかし、竜弦は一心のように自らの悩み苦しみを覆い隠すことができていません。未だにイジけています。それではダメなのです。単に苦いだけのオヤジからは、オヤジ本来の極上の旨みを感じ取ることなどできません。オヤジはあくまで、辛さや悲しさを表に出してはいけないのです。なので、竜弦はオヤジとしては二流、香りの良さを最大限に評価しても一流半のオヤジであることがわかっていただけると思います。

 今回の竜弦を見て「オヤジ万歳!」と叫んだ人もきっといることでしょう。しかし私に言わせていただければ、竜弦はオヤジとしては苦味が強すぎて上質とは言い難い。オヤジは強ければ良いというものではなく、まして外見だけを見て嬌声を上げるなんて愚の骨頂。型に嵌められ強制的に真っ直ぐ育てられたストレスたっぷりのキュウリを見て、「形がいいから美味しいだろう」と思うくらい愚かなことであると断言します。オヤジは少しくらいひん曲がっていて癖のある外見の方が良い味がするものなのです。世の親父美食家(オヤジグルメ)を自認する方々には、最低限こんな基本くらいはわかっていただきたいと思う今日この頃であります。

アイシールド
 キックの加入によって一気に泥門が西部を追い詰めてゆく描写が心地良いです。試合前は勝率0%とか言ってたのに、たった一人加わっただけで互角以上に戦えるようになったというのは、普通の描写じゃ説得力がまるで感じられないはずなんですけどね……このへんの演出力は流石と言うべきでしょうか。
 ところで、どうして製作サイドはそんなに「ムサシ=武士」のイメージを定着させようと躍起なんでしょうね? ケーキの話から無理矢理武士に話をもっていったり、いきなり不自然な武士掴みで物語を始めたり……それなら押入れに潜ませる方がずっと武士っぽくなりますよ(サンデーネタ)

ボーボボ
 タワーの囚われの仲間、三階と四階を交換するとどえらいことになりますね……。この性欲機械(エロスマシーン)が! (どっちがだ)
 大量のブロスは久々にクリティカルヒットでした。チクショー、そりゃあんなにいたら勝てっこねえ! (フォロー)

銀魂
 ・幽霊のじいさんの話
 なんだろうこのレアな焼き加減の話は……。いい話、不思議な話、どっちも目指そうとして、どっちにもなりきれていない感じ。オチがない、というのが余計狙いが絞れていないように見える原因なんでしょうけど。空知先生にしては詰めの甘い話作りだったような気がします。

 ・捨て子の話(1)
 銀さんと姉ちゃんとの仲を誤解して突っ走るさっちゃんが個人的に怖すぎます。そうなんですよ、あーゆーシチュエーションの場合、女性って本当にあーゆーこと言ってあーゆー怒り方するんですよ……。頼むから落ち着いて! 本人たちは自分たちのことに必死で、誰もあなたのことをせせら笑ってなんかいないからァ! ……いや違いますよ、私はあくまで愚痴聞き役の脇役であって、決して当事者なぞではありませんよ? 私がそんなモテるわけないじゃないですか。ええ。

D.Gray-man
 アレンの努力空しく、スーマン死亡。これは後で神や教団との間にいろいろ遺恨を残しそうだなあ……。真っ向から少年漫画的ご都合主義を排除した結果、後に残るのは一体何になるんでしょう。単なる後味の悪さだけではないことを祈ります。

デスノート
 シドウくんがこれ以上ないほど可愛いんですが、それ以外に見所が……。月のヘタレっぷりが見ていられない……!

テニプリ
 この漫画ってそんなに面白いですかね……(もちろん「そういう意味で」の話です)。最近は感性が一周してしまったのか、どんなにテニプリ全開な展開を見せつけられてもそんなに笑えなくなってきたような気がします(今週の流血も「まぁそれくらいやるだろうな」で済ませてしまいました)。私にとっては単なる意味不明漫画になってきたかも……我ながらもったいない。

ムヒョ
 今井さんは何が何でも生き残って六氷魔法律相談事務所に就職すべきだと思います(前回よりさらに力説)! もしくは島に残ったリオ師に拉致られて囚われのお姫様と化すのも素敵かもしれません。もっとも、この漫画の場合は、囚われのお姫様と化すより先に悪霊と化しそうですが……いや、それならそれでおキヌちゃんのように! (無理だ)

切法師
 「今日は五割増しくらいの力で戦えそうだ!!」
 これと同じようなセリフを確か「MAR」のギンタも言っていたんですが(「助けたいって気持ちが3倍になったぞ――っ!!!」 )、この不快感の差はなんでしょうね。なんで倫太郎の場合はここまで爽やかなんだろう……(A.「MAR」嫌いの人間が「MAR」と比べること自体がそもそも間違っているからです)。

ネウロ
 アイ○ルネタは最近のサンデーでも使われていましたが、こっちの方が巧いかな。展開自体は来週への繋ぎなので、次週の「今週の犯人」及びX(サイ)の由来に期待。犯人の正体はやっぱり業煤徒みたいな取り憑き型の悪意の塊かな?

ミスフル
 またギャグの比率が高くなってきてげんなり。たまにジャブが当たることもあるけれど、当たる確率は現在1/100発程度。しかもダメージ小。キツイ……!

タカヤ
 春歌を普通に可愛いと思ってしまう私はたぶん負け組。バキを知らない身としては、あのシーンはどっちかというと「少林サッカー」を思い出してしまうのでした。
 そして今週から始まった新展開は、うん、まあ、そんなもんじゃないですか? 因縁の見せ方はぶっちゃけ稚拙だと思いますが、いきなりあまり多くを期待するのも酷ですし。このエピソードでタカヤの「弱さ」が浮き彫りにされれば私好みなんですが、たぶんそうはならないでしょうね。

カイン
 カインのこの弱さはひょっとして、「カインは直接戦闘に向いていない→だから軍師役が似合っている」という読み切り展開への前振りなんじゃないかとちょっとだけ思いました。ま、たぶんそんなことはないし、それに仮に本当にそうであったとしても、既に手遅れな空気も漂っているんですけどね……。

REBORN!
 意外とちゃんとミステリやっててびっくり。やればできんじゃん!

ハンター
 ノヴの能力は、「マンション」や「かくれんぼ(Hide and Seek)」と言うよりは、どっちかというとモグラ叩きのイメージで考えるとわかりやすい感じです。モグラ叩きの穴の上が現実世界、穴の下が念空間で、基本的にはそれぞれの同じ穴を出たり入ったりすることしかできないけど、マスターキーがあれば入ったところとは違う穴から顔を出すことができるわけです。もちろん敵を穴の中に引きずり込んで念空間で戦うことも可能。ノヴはその場に穴を作ることはできるけれど、行ったことのない場所には穴を作れないので、瞬間移動といっても万能ではないあたりが心憎いですね(移動先を町に限定しないルーラみたいなもんです)。相変わらずこのへんの「非・万能設定」の匙加減が素晴らしい。バトル漫画は「できること=能力」よりも、「できないこと=限界」に気を遣ってこそです!

こち亀
 何故茄子が愛に掛かるのかわからないんですが……どういうことでしょう。そういう隠喩表現が日本にはあるの? それともまさか、愛という言葉自体が隠喩なんですか? つまり茄子=○○? ちょっと待て、そんなえろいこと少年漫画雑誌で言って良いの? ……ま、今更かね。

いちご
 ……何か書かなきゃいけないですかね?(笑)
 僕としては、来週きちんと真中が事故死してくれれば良いな、と思っています。

ユート
 各地で話題沸騰の超絶巻き展開最終回。恐らくほった先生の頭の中では、こういったストーリーができていたんでしょうね……。ここで出さなければ永久に出す機会がないと思って、もったいないから全部出したんだと思いますが……創作者のはしくれとして、気持ちはすごく良くわかるんですが……結果的にネタになってしまったのは、なんというか物書きの悲しい性(サガ)。

 んでこの漫画の総括ですが、簡単に言うなら「ネタの質(内容)ではなく見せ方(演出)を間違ってしまった」のがこの早期打ち切りの全てだと思います。つまり、いつぞやも言いましたが、この漫画の場合は少年漫画の作り方をされていなかったんですね。普通の少年漫画というのは、一週分18ページ前後で「ひとつの話」として読み込むことができるように作られている場合が多く、例えば最後のページでは「次週はどうなるんだろう」と読者に思わせるように「ヒキ」を必ず作るように話を組んでいます。しかしこの作品の場合はそういった部分を(無視とは言わないまでも)かなり軽視しておりまして、一週一週の話の面白さを多少犠牲にしてでも、全体をまとめて読んだ時のことを考えて話を動かす、といった作り方をされていたんですね。いわば究極の「単行本でまとめ読み推奨漫画」であり、全体をまとめて眺めた時と、一週分一週分で区切って読んだ時には印象が全然変わってくるはずです。

 (ちなみにこの正反対の作り方をされている漫画――すなわち究極の「週刊誌で読んだ方が面白い漫画」こそが「DEATH NOTE」なのですが、その話はここでは割愛します。ほった先生とガモ……大場先生のどちらにも小畑先生が絡んでいるというのは非常に面白いと思いますけどね)

 また、この「少年漫画の作り方をされていない」ということは別に毎週の展開に限った話ではなく、キャラクターの設定や動かし方などにも言えることであって、普通の少年漫画が目指すような短期的な読み心地の良さ――たとえばこまめな成長や、敵をやっつけた時の爽快感など――もまたこの漫画ではほとんどと言って良いほど扱われていませんでした。「雄斗がイヤな子にしか見えない」や「一度も主人公が勝負に勝ってない」などはまさにその典型で、どちらも少年漫画の文法からは大きく逸脱しています。ここからも、作者――ほった先生が既存の少年漫画文法をいかに無視していたかがわかると思います。しかし、「文法」とは言い換えるなら「そのジャンルを効果的に魅せるためのスキルの集大成」ですから、それを一切使用しなかった少年漫画が本当に面白くなるのかと考えると、それは厳しいと言わざるを得ないわけです。

 果たしてほった先生がそこまでわかっていてあえて逸脱した手法で物語を作っていたのか、もしくは単純にこの異質な作り方が少年漫画に通用すると読み違えて失敗してしまったのか、それは定かではないですが、私の考える「ユート」の失敗はそこにあると思います。

 あー、なんかひどく長くなっちゃいましたが、ま、結論としては「もっと普通の少年漫画っぽく話を作れば良かったのに」ってとこでしょうか。「タカヤ」とまではいかなくてもバンバンライバルキャラを出して、勝負(≒勝利)とか仲間の数も増やして、そんな感じに多少「普通」に歩み寄るくらいのつもりでやっても良かったんじゃないかと。もし今のままの作り方を今後も貫くつもりなら、いっそ小説家を狙うのも良いかもしれません。まぁそんな感じで。

ジャガー
 ハマーのにくたらしいおすまし顔がなんかすげえムカツク……(笑)!

総括
 んー、雑誌全体としてはボチボチかのう……。




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