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週刊少年サンデー感想(2005年第37・38合併号〜42号) (09/30) 
「10000hit感謝企画・雑談だけですでにグロッキー状態の中盤戦」



「はい、ということで大変お待たせしました、特別企画の後半戦に行きますよー。今回も私(理性担当)と(本能担当)のふたりの対談形式でお贈りします」
「♪きのう〜 おてらのこっねっこっがっ となりの〜むらに〜もらわれて〜……ん? ああ、やっと出番か。待ちくたびれたっつーの」
「待たせてるのはあんただっつーの! ていうかその歌は何」
「ははうえさま」
「(無視)それじゃ早速42号の感想に参りますか。あんまり長くしたくないからちゃっちゃと行くよ。まず巻頭のMAR。こういう時に限ってこういう漫画が巻頭というあたり、タイミングが本当に悪いというかなんというか……」
「超早かったなイアン戦。なんか気がついたら始まってて気がついたら終わってた感じ。短いといえば『うしおととら』の第五十三章なんかもたった二週で決着したはずなんだが、あっちは全然短いって感じがしねえな……まぁ長いって感じもしないけど」
「五十三章ってことはヒョウvs紅煉のラストバトルね……あれは短いなりに背景の動機付けは万全、駆け引きもあったし演出も冴えまくっていたから比較対象にするにはいささか相手が悪すぎると思うのよね……とりあえずMARは、大ゴマの数を減らすところから始めたらどうかしら。ただでさえページ数が少ないのに、大ゴマの連発で余計に描写量が制限されちゃってるから、だから動機・背景の説明もバトルそのものの展開も超大雑把になる。現状では描写だの駆け引きがどうこう以前に、それを描き出せるだけのキャパシティ(許容量)がないのよ。だからまずは、もっといろんなことを描けるだけの余裕を作品内に持たせる=コマの数を増やす。これに尽きるわ」
「でもMARの問題はそれだけじゃないだろ」
「うん、もちろん。今のはあくまで『ちゃんと作品を描くために、まず前提として描けるだけの環境を整えてね』って言ってるだけだから。そうやってコマ数を増やした上で何を描くかが本当の問題」
「俺は期待しないぜ。じゃあ次、ガッシュ。大方の予想通りウォンレイ帰還が決定したわけだが、もうひと波乱ありそうな予感」
「予感も何も実際あるんだけどね。差し当たっての問題としては、ウン……の爆弾をどうするか」
「いろいろあるんじゃね?
  (1)ウンコティンティンの爆弾を『分解』だとォ!?
  (2)悪意に満ちた十重二十重のトラップ群……この『謎』はもう我輩の舌の上だ
  (3)わ わりぃ界王さま ここしかなかったんだ…
  とか」
「半分以上ジャンプネタってのはどうかと思うんだけど」
「というか今のネタのためにちょっとドラゴンボール読み返してたら、クリリンに助けられた人造人間18号のたまらぬツンデレっぷりに思わず心奪われそうになったんだが」
「知るかッ! ガッシュの話に戻るわよ! あと今回触れておきたいのはウン……のキャラ付けね。例の男発言はキャラが定まってない印象を受けたんだけど。っていうかああもう話しづらいなこのキャラの話題は!!」
「はっきり言えば良いじゃねーか、ウンコティンティン。無駄に女性らしさをアピールしやがって」
「なんと言われようとその名前は呼ばないんで宜しく」
「まぁ良い。それでウンコティンティンだが、確かにアイツが男を語るなど片腹痛い。男を語って良いのは漢だけだ! アイツは漢などではない、ただのセクハラオヤジだ! クズだ!」
「でも、そうやってオトコオトコって連呼するのもどうかって思うんだけどねー。あんたの語る漢とやらが性別男性の猛者だけを意味してるわけじゃないってのはわかるんだけど、その呼び方だとやっぱりどうしても性別女性は問題外なのかなーって思っちゃうんだよね」
「あー確かにこの音に関しては俺も賛成はできねーんだよ。男と漢を混同することそれ自体が漢のすべきことじゃないからな。漢なら立派な人間は男女問わず認めるべきだ。ただ現状でオトコという呼び方が一般化してるのは事実だから、俺は仕方なくオンナという表記も使って均等化を図ってみようかと思ってる」
「オンナ?」
「適切な漢字がねーから片仮名表記になってるが、意味としては『真女』とか『魅女』とかそんな感じだ。覚悟が決まってるっつーか、強さと優しさを備えた女性っつーか、漢と意味はほとんど同じだな」
「ゴロ悪いわね。というかまた話題がズレてるってば。私はウン……が漢であってもそうでなくてもどっちでも良いのよ。ただね、キャラは統一してほしいなって、それだけ。男を語ってニヤリとしたキャラが、同じ回のうちに見苦しい悪態吐きながら人の努力を台無しにする爆弾を作動させるのってどうなの? あと同じページで『私』と『オレ』が両方使われてるのも凄く気持ち悪い」
「そんなの今に始まったことじゃねー。でもまあ確かに、通常は『私』のゾフィスが追い詰められて『オレ』になったのとはちょっと意味合いが違うなこの場合は。状況は変わってないのに一人称だけ変化してるから。こういう状況で一人称が定まってないってことは、作者の中でキャラが定まってない証拠だ。雷句先生、ほんっとーにウンコティンティンに思い入れねえんだな」
「そんな思い入れのないキャラを、最後の見せ場の相手としてぶつけられたウォンレイが余計可哀想でならない……」
「んで次はうえき+か。びっくりしたよ今週は。ちゃんと精神的葛藤になってる!」
「最後の問いかけはなかなか迫力あったよね。口先だけ正義だの熱血だのを振りかざす漫画では出せない空気が出てた気がする」
「この際だからはっきり言うが、無印の頃は俺、この漫画に対してはまさに『口先だけの熱血漫画』という評価を下してたんだよ。戦う理由とか熱血とか葛藤とかそういうものの描写に全然共感できなくて、もう動機部分はなんでも良いから愉快なバトルとびっくり展開やってくれればそれでいーやって感じでな。だけど無印が終わってプラスになってからは、その辺の描写が見違えるように良くなっててマジビビった。共感もできるし熱血もできる(極上ではないが)。やりゃできんじゃん!」
「植木の内面をちゃんと描く実力が育ったのに加え、タイミング良く(アニメ化漫画家として)立場的余裕が生じたのが幸いしたのかもね。次回どう返すのか楽しみだな」
「あともうひとつ気になるのがビャクの能力の由来だな。“ワックス”に“固”を加える能力って、どういう信念があれば生まれると思う? 植木やシロ、それにラーメン屋の店主なんかの場合はその辺の過程がわかりやすくて能力にも深く納得したんだが」
「福地先生、そこまで考えてるのかな?」
「いや考えてないかもしれんけどさ、俺らが妄想する分には構わんだろ。この漫画をもっと楽しむためだ。普通に考えれば極度の自己保身欲求の具現化というか、誰にも頼らず、誰にも負けない強さを求めた結果あの固さを生み出した、ということになるんだろうけど」
「それで良いじゃない。何が不満なの?」
「安易すぎてつまんねーだろ。もっとこう、女の子みたいなサラサラヘアーが災いして姉貴に女装させられた過去があるとか、そのせいで男にしか興味がもてない体になっちまったとか、興奮が絶頂に達すると『フォ――――――――!!!』と絶叫して脱衣ルパンダイブを自動発動するとか」
「途中というかかなり初期から違うキャラの話になってるんですけど。その過程で“固”の能力が芽生えたらびっくりだわ。そらウォンレイも魔界に帰るっちゅうねん。っていうかそれで“固”ってセクハラよそれは!!」
「お前もいい加減何言ってるのかわからんぞ。んじゃ次、MAJOR。これは俺的には『何から何までふざけんな』の一言で済むんで、お前に任せた」
「と言われてもなあ……とりあえず清水はちゃんと連れてこうね、とだけ」
「清水はそういう扱いをされることになってるキャラだから、その指摘は間違ってるぞ。世の中にはお約束ってもんがあんだよ。それは藤田御大に向かって熱血バトルをやめろと言ってるよーなもんだぞ?」
「…………うん、まあ」
「言うことないんならとっとと次だ。コナン。ねこはバカな生物なんだから、こういう大事な局面に連れて行く方が馬鹿だとしか言いようがないな。ねこの良さを理解していない飼い主はこれだから困る。ねこはバカだから可愛いんだろ」
「でもそれで犯罪が食い止められるんなら結果オーライじゃないの」
「馬鹿とハサミは使いようというが、ねこは使ってはいけないものだ。バカだから使ったら必ず失敗する。それを脳天に良く刻み込めビート。黙ってそのへんに転がしておくのがねこを扱う最良の方法だと胸に秘めろハート。そして全てを焦がすほどの情熱でねこを愛し狂えヒート!! わかったか!」
「悪いけどさっぱりわからん」
「あっそ。さて絶対可憐チルドレン。ついにシリーズ通してのライバルキャラ登場なわけだが、こいつァ正直フェイスレスと同じ匂いがプンプンするぜェ」
「たぶんラスボス、老齢なのに恋愛感情が盛ん、しかもその恋愛感情が独り善がり、とりあえず強い、無駄な自信、一人称が僕、自称策略家、目が濁ってる、そしてロリコン。違いと言えば機械と超能力ってあたりくらいかしら……」
「そしてフェイスレスがそうだったように、こいつもきっとチルドレンにけちょんけちょんにフラれてやさぐれて大暴走するに違いねえ。サンデーが誇る喪男がまた一人増えたぜ! 我々はお前を歓迎する!」
「我々ってあんた以外に誰がいるの」
「たぶんX-XXXのXXXXさんとか?」
「こらーッ! こういうとこで勝手に名前出すのはあまりにあんまりだから修正入れたわよ! 確かに賛同してくれそうだけど……。でもエレに鳴海がいるように、薫たちチルドレンにとっても既に皆本という大本命の相手がいるからね。まず間違いなく確実にフラれるでしょう。だからあとはどんだけこっぴどくフラれるかという話になるわけだけど……」
「この手のプライドの高そうな奴には精神属性の攻撃が効果的だからそっち方面だろうな。具体的には周囲の人間に『兵部=キモイ』という印象を決定付ける根も葉もないでっち上げの噂攻撃とか、身体面での弱点(例えばナニがアレとか)をあげつらう逆セクハラ攻撃とか、彼の大切な思い出に土足で踏み入ってグチャグチャに荒らしまくる過去否定攻撃とか、本人の自信の源になってる優越感を粉々にぶち壊す(例えばひたすら皆本と比較しまくって『だからお前はモテない』と否定する)アイデンティティ破壊攻撃とか、いくらでもあるんじゃねーの? しかもチルドレンと椎名先生なら本当にとことんやってくれそうで余計大ダメージになる気がするぜ」
「どれもこれも死んでも喰らいたくない攻撃ばっかね……うちの管理人ならそのうちひとつでも喰らったらたぶん耐えられずに自殺するわね」
「自信過剰な奴ってのはつまり大バカな奴だからな、ニブいんだよ。ニブい奴にはこれくらいやらんと伝わらん」
「まぁねぇ……じゃあ次、ハヤテ。ちょっと必殺技の話は引っ張りすぎなんじゃないかしらと思った回でした」
「しかも会得のためのステップ踏んでるのとも違って、ただ『必殺技は必要だよ』と繰り返し言ってるだけの展開だからな。それはもうわかったっつの。そろそろ飽きてきたから、いい加減小技のひとつも覚えさせて良いんじゃねーか?」
「ここできちんと技に属性がついたら面白いんだけどね。この間の執事が炎属性だったのに対して、ハヤテは風属性の必殺技を使うとか。さらに言えばその属性で相性なんかもきちんと考慮してくれたら良いんだけど」
「だーかーらー本職のバトル漫画でもあんまり達成できてないことをこのギャグ漫画に期待すんなっての。見境なく期待しては失望してたらそれこそバカみたいだぞ?」
「というかこれってギャグ漫画だったんだ……いや、あんたのことだから萌え漫画定義なのかと思ったら違うのね」
「……ぶっちゃけた話、俺はこの漫画に対して『老けて見えることを気にするマリア』以外のファクターに萌えたことがねえんだ。ナギも伊澄もヒナギクもサキさんも西沢さんも全部ダメだった(西沢さんは可愛いと思うが)。だから俺の中ではこの漫画を萌え漫画に定義できない」
「あ、そうなの? 言われてみれば確かに、うちのサイトのこの漫画の感想で萌えがどーたら言ってる光景はあんまり見たことないなあ……」
「あまり絵が上手くないくせに露骨に狙いすぎてる感がしてどうしても引くというか、『この漫画は萌え漫画なんですよ、だからそういう読み方をしてくださいね♥』って言われて、素直にそういうものだと引き下がるのもなんか癪だろ? 媚びに負けたみたいでさ。『我聞』の方はまた別で、同じ萌え依存漫画でもそっちは素直に萌えられるんだが。なんつーか『藤木先生的には仙術バトル漫画にしたいんだけど、萌え日常展開が人気だから恥ずかしいけど仕方なくそっちに頼ってますオーラ』がぷんぷん漂ってて、なんだか藤木先生の恥ずかしそうな様子が透けて見えるのが萌え」
「知らんわ!」
「ちなみにマリアの老け属性だけには萌えるのも、藤木先生に萌えるのと同じ理由……つまり作者にとって不本意だからだな。畑先生はマリアに老け属性をつけようなんて考えてなかったに違いねえ。アレだ、ノリノリでやってるよりもやっぱり少し恥じらいがあった方が萌えるだろ?」
「だから知らんっちゅーねん! そこで私に話をフるなや! 次行くわよ次、犬夜叉! 刀々斎の一見痛烈な批判が炸裂したわけだけど、犬夜叉が修行したシーンなんてそもそも雀の涙ほどしかなかったじゃない? この漫画って、時折どこまで冗談なのかわからなくなって困るわ」
「今回のは流石にマジだろ……。っつーか冗談なんか言ってたことあったか?」
「罠だと言ってるのに金剛槍破を撃ったりとか、タイムボカンの三人組の爆発オチ並に毎回必ず逃げるのがお約束になってる魍魎丸や奈落とか、冗談としか思えない発言や展開が割と目白押しじゃない? 後者に関してはまぁ編集部パワーを考慮すると多少は仕方がない部分もあるけれど……でも前者はなあ。確かに犬夜叉はかごめとイチャイチャすることで大分丸くなってきたけど、その心の成長がバトルには全く活かされていないのが痛いのよねえ。つくづくこの漫画はラブコメ一本に絞るべきだと思えてならないわ」
「結局お前の結論はいつもそこに行くんだな。高橋留美子はバトル漫画を描くのに向かない、早くラブコメ漫画家に戻ってくれ」
「うん。そう思ってるのは事実だもの。じゃあケンイチ。今回は非常にこの漫画らしくて良かったんじゃないの? 兼一の戦い方は確かに甘いけど、一本きちんと筋が通ってるから見てて気持ち良いわ。でもこれ、一発も殴らずに勝利できたってことは、実際の実力差はもっとかけ離れているってことよね」
「男同士の殴り合いならもっと簡単に兼一が勝ってた可能性は高いよな。しかしそれでも他の面子はジーク以外完全敗北したわけで……兼一とそれ以外の面子の実力がかけ離れすぎじゃねー? 師匠がどうとか以前に、実力の面でもう完璧にモブの道しか残ってないんじゃねえのか」
「かといって梁山泊の兼一を差し置いて他のキャラがそれ以上にパワーアップする展開は考えにくいしね……こういうのはどう? 敵の一影九拳の一人が新白の誰かに目をつけて、ワシのところに来れば今以上に強くなれるぞと揺さぶりをかけて引き抜いて、強敵になったかつての仲間と戦う展開になったりとか」
「おお、そりゃ燃えるな確かに。でもそんな人材が果たしているのかどうか。武田や宇喜田じゃそれでも兼一の相手にはならんだろうし、キサラじゃ今回と似たような展開になっちまう可能性が高い。谷本は今更他の師匠に師事すること自体なさそうだし、後はジークくらいしか残ってないんだが……でもジークじゃ信念vs信念のぶつかり合いにはならなさそうであんま燃えねーな……」
「意外なところで新島が強くなったりとか」
「そりゃないない」
「そうね。ごめん、言ってみただけ」
「じゃあ、これで雑談部分は最後かあいこら。フェチ(絶対的な愛)はトラウマ少女を救うという、この漫画の基本方針が提示された話だったな。『美鳥』の時も連載初期の重大事件(一時的な本体復帰)が結局その後の路線を示唆していたことを考えると、これがこの漫画のテーマであると考えて間違いないだろ」
「テーマがあること自体は素敵なことじゃないの。『ハヤテ』みたいに何も考えず呑気なラブコメやってるよりは、中に一本シリアスな芯が通っていた方が読み応えは出るからね。ありきたりなドラマと非難されようが、私は断固支持するわよ」
「でもなぁ。『美鳥』の時の現実回帰は確かにメッセージとして立派に成立してたけど、でも今回のテーマは正直引っかかる部分があって素直に納得できねえんだよ俺は。なんつーかさ、これって結局“本人を”愛してるわけじゃなくて、そのパーツに惚れ込んでるだけだろ? 極論を言えばさ、それって金目当てで付きまとってるのと何が違うんだ?」
「でもあんた確か前半戦で、パーツだけを愛する覚悟がどうとかケジメがどうとか言ってたじゃない。それで解決はしないの?」
「そりゃ確かに言ってたけどさ。でも限度ってもんがあんだろ限度が。やっぱ愛がなきゃやっちゃいけねーことってのはあんじゃねーの? このまま天幕を見事コマしたとしても、そしてそれについてハチベエが天幕を騙す覚悟を持っていたとしても、俺はそういう結末には到底納得できないね」
「騙すってのはちょっと言いすぎじゃない?」
「言い方は悪いがそういうことじゃねえか。だって天幕が自分のパーツ愛を『本人への愛』と勘違いしているのを知ってて、それを自分の利益のためにわざと見過ごすことになるんだからな」
「んー、まぁそう言われるとそうだけどね。でもそのことについては私はあんまり心配してないなあ。たぶんだけど、それはあんたの読み込みが足りないからそう思えるのよ」
「読み込み?」
「そう。さっきからあんたはテーマがどうとかメッセージがどうとか言ってるけど、肝心なことを忘れてない? それは『誰に向けた』メッセージなの?」
「誰って……そりゃあ……」
「作品のテーマに限らず世の中のあらゆる伝達行為にはね、必ず『送り手』と『受け手』が存在するものなのよ。送り手は井上先生で良いとして、じゃあその場合、その『フェチはトラウマを救う』というメッセージを受け取るのは誰になるの?」
「そりゃ、こういう漫画を好んで読む人種……オタクだろうな」
「オタクがそのメッセージを受け取ってどう救われるの?」
「……己のフェチに自信を持て、とか?」
「『美鳥』でオタクに現実回帰を突き付けた井上先生が、今回に限ってそんな生温いメッセージを発するかな。私はそうは思わない。だからこれは私の想像になるけれど、『あいこら』のテーマは二重になってるんじゃないかしら。もっと簡単に言うなら、この漫画には表のテーマと裏のテーマがある」
「お、表のテーマと裏のテーマ?」
「そう。さっきからあんたが言ってる『フェチがトラウマを救う』ってのはいわば表のテーマの話。表しか見てないから引っ掛かりを感じるのよ。裏のテーマも合わせて見れば、その引っかかりはたぶん氷解する」
「じゃあ、その裏のテーマってのは何なんだよ」
記号やパーツではなく、人間自身を愛することの尊さよ」
「!」
「つまりこの『あいこら』という漫画は、自分自身にコンプレックスを抱いていたヒロイン達が、主人公の愛によって自己肯定できるようになる話であると同時に、今までパーツしか愛せなかった主人公が、ヒロイン達を通じて人間自身を愛することを学ぶ話でもあるのだと思えてならないのよ。パーツ少女たちの成長を描くと共に、主人公自身の成長も描く。これぞあるべきドラマの姿だと思わない?」
「成程、これなら確かに天幕×ハチベエが成立しても後ろめたい部分が消えてなくなる!」
「連載の初期段階である現在で、ハチベエがパーツにしか興味をもたず、人間部分を全然気にしてないのはそのための計算された演出なんじゃないかな。それに、これならオタク向けのメッセージとしても有効に機能するし。『メガネ』『幼馴染』『ネコミミ』『ツンデレ』といった記号萌えが全てを支配する現在のオタク界にNOを叩きつける! 『美鳥』でも、最初に『可愛い女の子と夢のような同居生活』というテーゼを掲げつつ、最終的にはそれを否定した過去があるからね。今回もそうやって、最初の意匠とはまるで正反対の結論に話を落ち着ける可能性は充分にあると思うわ」
「確かにそれなら全てに合理的な説明がつくが、しかしそれじゃ根拠がちょっと弱くねえ? せめて作中でそれっぽい描写のひとつやふたつはないと力説はできないと思うんだが」
「一応作中描写に根ざした根拠としては、あやめ姫の回で天幕に嫌われたハチベエが自分自身の落ち込みぶりに驚くシーンがあったことが挙げられるけどね。あれなんかまさに、ハチベエの価値観が少しずつ変わってきていることを示唆する重要なカットだと思う。まぁ、今のところはそれくらいしかないけど、まだごく初期の段階だから、そんなにおおっぴらにやるわけにもいかんでしょ」
「そんだけかい。そりゃちょっと苦しい気がするぞ。でも話はわかった、その仮説なら筋が通ってるから俺的には全然オッケーだ。騙しエンドなんぞより数億倍はマシだからな。だがあとひとつだけ、井上先生のこれまでのノリノリっぷりを見ると……井上先生自身、記号萌えを楽しんでいるように見えるんだが?」
「それに関しては……『記号萌えも良いけどそれだけじゃダメだ』、みたいな感じじゃないのかなーと。『美鳥』の時もそうだったけど、やっぱ否定しつつも好きなんでしょうね、オタク的なものが」
「なんかどんどん話が苦しくなっていくぜ」
「所詮いち読者の思い付きだからね……至らない点があるのは勘弁して」
「さて、じゃあこれで雑談部分は終わりということで、これから残りの手をつけてない漫画の個別感想に行くわけだが……しかし、すでに信じられないほど長くなってないか? 上のお前の発言までだけでもう8885文字。バカかと。ここまで読むだけでもえらいエネルギー使うだろ、これじゃあよ」
「ほんとはもっと簡単に触れてチャッチャと終わらせようと思ってたんだけどね……言いたいことを言いまくってたらこんなに長くなってしまってごめんなさい。これでも多少は話題を絞ったんですけどね。ガッシュとか、あいこらとか、ケンイチとか、語ろうと思えばまだまだ語れたんだけど」
「それは次の機会にしとこうや。とりあえずこの場はこれでおしまいにするぞ」
「そうね、ではみなさん、ご清聴ありがとうございました。縁があればまたどこかで……」
「オイオイまだ終わってない終わってない! 管理人がもうヘロヘロなのはわかるが……




【クロスゲーム】(126)

>表紙のクローバー

「まぁみなさんお気づきかと思いますが、これって一枚色素薄くなってるよね」

第一部新連載時の表紙
(第22・23合併号)
第二部新連載時の表紙
(第40号)

「あ、マジだ! 左側の葉っぱの色だけ薄くなってる! 怖ェエエエエ!!」
「……というネタをやろうかと思っているうちに、気が付いたらカラーじゃない通常の表紙でもっとわかりやすく薄くなってましたね……ごめんなさい」
「さっさと書かんからこうなる。ていうかコレ、葉っぱ全部薄くなるまでやったりしてな……第四部ラストで四姉妹全滅説」
「まぁ、死ぬとしたら順番的には以前言った通り若葉(実行済)→一葉(第二部)→紅葉(第三部)→青葉(第四部)かな? 青葉は若葉亡き今唯一主人公と同世代のヒロインだから、簡単には殺さないでしょう。殺るなら最後ね。紅葉は今死んだら若葉と似たような感じになっちゃうし、となると残るは長女の一葉しかいない、と」
「しかしヒロインの死ぬ順番を予想する漫画なんて初めて見たぞ……」
「死に方については不確定要素が多すぎてなんとも言えないけど、どうせだから四大属性で死んだら面白いんだけどね。川で水死が来たから、後は火事で焼死、土砂崩れに巻き込まれて圧死、風、風は……」
「面白い言うな。窒息死でも風→風邪で病死でもヘリから墜落死でもなんでも良いじゃねーか。この漫画でヘリから墜落するシチュエーションはちょっと想像できないけどな。あとどうでも良いけど、光と紅葉の年齢差って中三⇔小四の五学年差だから、サータン⇔裕美の高一⇔小六の四学年差より何気に離れている罠。もしくっついたらサータン以上のロリコン確定な」
「それを言うなら光⇔一葉の中三⇔大二だって五学年差で同じじゃない。ロリコンなのが光じゃなくて一葉になるだけで。だからヒロインはもう青葉しかいないのよね。あだち先生のことだから、ここで変な年の差カップル成立を狙うこともないでしょうし」
「というか死ぬこと前提で話しつつカップル成立も糞もないんじゃ?」


>死者の話になるとあだち漫画はグッと演出が冴える

「という持論を管理人は持ってるわけだけど、それが第二部でも遺憾なく発揮されてる感じがするかな。若葉と光の事情を知ってるメンバーの動きがとても良いなあ。中西くんとか赤石くんとか、直接語りはしないけど事件をけっこう引き摺ってるのが透けて見えて上手い」
「でも死人がいようがいまいが、あだち先生の演出力は基本的に高えんじゃねーの? 俺は嫌いだが。死人がどうこうってのは演出の冴えに関係してんじゃなくて、単に重たいテーマでライトな作風と上手くバランス取ってるからに見えるぞ」
「んー、あー、うん。そうかも」
「でも演出から離れると、途端に進展がないから語ることもないストーリーしか残らんわけだが」
「それはもうそういう作風だから諦めなさい」




【ワイルドライフ】(126)

>鉢辺編まとめ

「えーと、いろいろ言いたいことはあるんだけど、ほとんど文句なんでどうしたもんだか……」
「言っちまえ、言っちまえ」
「無責任に煽り立てないでよ。とりあえずマズいと思った点は二点。(1)漫画と取材の主従が完全に逆転してるのと、(2)安易に醜いオタク像を押し付けてる点」
「二点だけ? もっとあんだろ」
「確かにもっとあるけど、細かいこと言い出したらキリがないんで略。それで(1)だけど、これはもう論外ね。はっきり言って、漫画のプロとは思えない仕事だと思います。いや、質がどうあれ金になる漫画を描く人をプロと呼ぶならこれはプロかもしれないけど、ストーリーテラーとしては間違いなく失格」
「昔からそうだもんなあ。ペンギンの回とか料理教室とか。おう、懐かしい」
「『こち亀』も同系統の取材漫画だけど、あっちの方がまだ上手さがある気がするな。まだウンチクが話にリンクしてるから。こっちのはストーリーの進行上なくても良いセリフが目白押し。取材したことをなるべく多く載せようとするあまり、必要な情報の取捨選択がまるでできてないのよ。しかもその取材の内容も、なんだかうっさんくさいしねぇ……」
「あれってどこまでマジなのよ? はっきり言って話半分以下、ほとんど冗談のよーなもんとして読んでたんだが」
「あれだけ断言してるってことは、ある程度は裏付けの取れた話なんじゃないの? 全部が全部間違いってわけじゃないでしょ(ゲーム脳みたいなすっごい例もあるにはあるけど)。この辺は参考文献を確認する時間がなかったんで断言できません。ごめんなさい。ただね、話が本当かどうかと、それがうさんくさいかどうか、つまり説得力があるかどうかはまるで別の問題なのよね」
「あー、確かにうちのウンチクとか、真偽も怪しい上にうさんくさいしな(笑)」
「漫画に限らずフィクションなんて言ってしまえば全部嘘だけど、それが子供騙しみたいに見える場合と、ちゃんとひとつの世界として楽しめる場合があるじゃない? それがつまり説得力の違い。さりげないディティールの描写、きちんとしたソースデータの提示、こういったものを積み重ねて説得力は生じるもの。今回のケースは、ソースを示さずいきなり結論だけ示しちゃったから説得力がないのよね。まぁ、漫画内で無理なくソースを出すのは不可能だったと思うけど」
「じゃあしょーがねーじゃん」
「そんなソースも出せないような情報をメインに漫画を描くのが間違いなんだってば。題材は選びましょうってこと。じゃあ次は(2)の話だけど、オタクの悪い面ばっかり強調して、良いとこをひとつも提示しない。こういうのはメディアとして卑怯よね」
「オタクなんてあんなもんだろ」
「いや、それは人によりけりなんだってば。確かにあーゆーのもいると思うけど、そうじゃない人だって沢山いるでしょうに。でもあんな描き方じゃオタクはみんなあんなんみたいに思えるじゃないの。無理解はともかくそれを改善しようという意思も感じられない。今更セーラームーンネタで来た時から、その無理解っぷりは覚悟はしてたけどね」
「ずいぶんオタクの肩を持つな。さてはお前オタクか?」
「私はオタクじゃありません。こういう決めつけが大嫌いなだけなの。だから同じことを男女問題でやってても韓国批判でやってても全く同じ反応をしたと思う。良い面も悪い面も提示して、その上で見ている側に結論を委ねるのが本来あるべき姿なのに。『○○なんてどうせみんな理論』を製作サイド自身がやってどーすんのよ。視野の狭さを自ら宣伝してるようなもんだわ」
「何をそんなに怒っているのかようわからんが、要するにお前は、オタクについて無知な奴が、大したリサーチもせず『オタクはこうだ!』と決めつけた酷い描き方をしてるのが気に入らんわけだな? そんなもんギャグで流せば良いだろうに、融通の利かん奴だな」
「融通が利かなくて結構。こういう他者理解の放棄は差別意識の元になる根深い問題だから、私としては少年漫画でやることを絶対許すつもりはありません」









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