週刊少年サンデー感想(2005年第46号) (10/15) 「また載ってない」


史上最強の弟子ケンイチ(167)
 カラー表紙のポージングを見るにつけ、最凶の弟子の天職はバレエダンサーであることだけは間違いないと思ってしまいます(笑)。「ひゃっほう!」って感じで飛び跳ねてますよ! こりゃもう格闘技なんかやってる場合じゃないよ! その類稀なる表現力で早く世界を魅了しなくちゃ! (ちなみに表紙の袖の色のミスは、彼の喜びの表現ポーズがあまりに面白かったので不問とします)

 兼一が梁山泊に残るくだりはお約束とはいえ楽しかったです。残ると絶叫してる時にちょびっと泣いてるところなんか弟子として可愛すぎるじゃないですか。他にも、優しい雷薙さんの絵がなんだかリリーブラックっぽい蔑みを含んでいる部分とか、「大人のエロ本」がむしろ中学生〜高校生向けの絵柄になってる部分とか(本当の大人のエロ本はオリンピアとかダイナマイトとかあんなんでしょう)、岬越寺師匠が一度出た「衰弱死」という結論をゴリゴリ塗り潰して消してる部分とか、兼一のシャツの文字がわざでぱ繋がりで藤木先生エキスを感じられる部分とか、あらゆる点にツッコミどころが満載で大満足。やっぱりこの漫画はバトルやってる時よりコメディやってる時の方が何も考えず素直に楽しめます。


金色のガッシュ!!(226)
 ウマゴンのディオエムル・シュドルクはいつの間にあんなに汎用性の高い呪文になっちゃったんでしょうか……?
 いや、問題なのは攻防自在に使える点ではなく、明らかに「炎ができること」の範囲を逸脱した使い方を繰り返している点なのですが。炎に質量はないから、心理的にはともかく物理的には盾にも槍にもならないという、小学生でもわかる常識中の常識を何故こんなに堂々と無視してるんですか? これを見て、年端もいかない子供が「炎なら相手の攻撃を食い止め相手の盾をブッ壊せる」と本気で思ってしまったらどうするの? 我々の世界の炎と彼らの扱う炎が物理的に違うものを指すのであれば、そういう説明を入れてくれないと困ります。はっきり言いましょう、これなら「MAR」と同レベル、もしくは「MAR」以下ですよ。

 あと、ファンゴの説明がとにかく後手後手に回っていることにもちょっとがっくり。この程度の説明なら、これまでの展開でいくらでも入れる余裕があったでしょうに。裏切ったウォンレイを描くシーンが少なかったことの弊害がここにも出ています。盛り上がるのは結構ですけど、最低限のクオリティくらいは保ってくださいよ……。

 (文句ばっかり言ってるのもアレなのでフォロー:ザルチムのキャラは今までの「ガッシュ」にない、誇り高いタイプのようで非常に素敵です。追い詰められても己の信念を貫き通しそう。今までの悪役は、どいつもこいつも揃ってゲス揃いでしたから……って結局文句になってるし)


犬夜叉(429)
 個人的に七宝が誰も気付かない超ファインプレーを演じていたのが印象的でした。気絶した美少女が横に転がってるシチュエーション、もしあそこで七宝が降ってこなかったとしたら一体奴は何をしていたことか(いや、流石にそれくらいは空気読めてますがな)。

 で、結局妖穴ってなんなんでしょうか? なんで妖穴突いたら倒せるの?


ハヤテのごとく!(51)
 クラウスさんが格好良かったので良しとします。というかナギ、それはどっからどう見ても完璧に言い逃れのきかない腐女子の思考だぞ。心は否定しつつも頭ではしっかり……という最悪のケースです。ハマるともう、後戻りできなさそうだ……。


MAJOR(531)
 松尾さんが大物扱いされているのか不遇な扱いを受けているのかはっきりしなくてもどかしい。


MAR(128)
 で、パノの制裁はいつ始まるんですか?


ワイルドライフ(134)
 力には力で、金には金で、権威には権威で。報復の手段としてはまっこと正しい戦法です。しかし、本編の方で知識の重要性をないがしろにしているのは気がかりです。何をするにも知識はとても大切な前提ですし、それにあれだけの知識を覚えることだって、情熱がなければできないことでしょうに。

 あと。それはそうと、151ページの陵刀のFXXK YOUの手がなんかやたら膨らんでるのは何故ですか? なんか某ネズミーマウスの手袋を想像しましたよ。


結界師(94)
 あ、言ったそばから限がやられた……。
 と思いつつも、実は今回の火黒の一撃は暴走のあまり自滅に向けてひた走る限を止めるための優しさだったんじゃないかなーともちょっと思ったり。なんかそんなシーンに見えるのは私だけでしょうか? もしそうなら、とても素敵だなという願望もかなり混じってますけどね。


読みきり(天晴れ!!半ケツ侍)
 典型的な勢い重視のギャグ漫画。おみっちゃんがあんまり可愛くなかったのでテンション低くてすいません。


焼きたて!! ジャぱん(180)
 (真面目に語るのも馬鹿らしいと思いつつ)今週号を読む限りではヘッセ優勢な感じですが、しかしヘッセの工夫には「誰でも作れる」という点が明らかに考慮されていないので、この点が勝敗の争点になるのかな? もしやこの漫画で初めて後だし敗北のシーンが見られたりするんですか?


あいこら(14)
 ……あー、いや、これはある意味では面白かったっちゃあ面白かったんですけどね……。
 でもいい加減にしとかないと、おいちゃん今回の用語を全部大真面目に解説しちゃうよ?
 小学生が見てるかもしれない場で、何が何の中で動いてることにひっかけてるのか、奥に当たるってのはどういう意味なのか、中田新一ってのは何のことなのか、最後にハチベエが何を言わせようとしたのか、事細かに全部説明しちゃいますよ? 良いんですね? 本当に良いんですね?
 だって別に何もやましいことなんて描いてないんですもんね。ねえ?

 あと、ちょっと前あたりから活発化してきた弓雁の積極的な攻撃がいよいよトップギアに入ってきたようで、妄想暴走属性スキーとしては非常にムフフな感じになってきているのですよ。この調子で三話後にはすっかり彼女ヅラしてたり、五話後にはハチベエのメールを勝手にチェックしてたり、十話後にはハチベエの両親へのご挨拶の日取りを提案したり、二十話後には将来の子供の数と名前を相談しに来たりなんかすればもう完璧です。合い言葉はもちろん「運命ですから」で決まりですよ!


ブリザードアクセル(30)
 ……あれ、徳永あかねって、誰?


兄ふんじゃった!(36)
 数々の危機を乗り越えて、テルキヨとヤンキーくんがすっかりマブダチなのが微笑ましいです。


クロスゲーム(7)
 今週も断固として赤石×青葉が成立しているようにしか見えません。でもケーキをもってかれて文句を言わない千田くんは毛利小五郎に比べれば結構マシだと思った。

 (2005/10/16追記:拍手の指摘により、45号・46号両方において青葉と若葉を間違えていたことに気付いたので修正します。死者とのカップリングは流石に新機軸すぎましたね。指摘サンクスです!)


絶対可憐チルドレン(13)
 良いなあ。兵部少佐の罠が本当にただの嫌がらせ以外の何物でもないのが実に良い。そしてラスボスを終始変態扱いし続けているのも最高です。ここんとこの「絶チル」はもう波に乗りまくりで素敵三昧。単行本、間違いなく買わせていただきまっせ!

 (ここから超脱線)あと、幽霊は科学的にあり得ないということですが、科学ってのはそんなに万能じゃないので悪しからず(未だに生命の正体すら解明できてませんからね)。今の科学じゃわからなくても、十年後には科学で解明できるのかもしれない。でも大半の幽霊話は理屈が全然通っていないから怖くないというのは同意です。あ、「科学的でない」のと「理屈がない」のは全くの別問題なので。予言も幽霊も超能力も風水も手かざしも別にあって構わないし、否定する気はありません。ただ、「何故どういう理屈でそう言いきれるのか」をどうして説明してくれないんでしょうね? 風水で金運を司るのは何故北でも南でも東でもなく西方向なの? 「西方向は兌宮だから」じゃ理由になってませんよ? 手かざしで人間の掌から出ているのは何で、それはどの器官からどのように照射されどのようなメカニズムで人間のどの部分に影響を与えるのか破綻なくちゃんと説明できますか? それを教えてくれない限り、私はこれらの話を真面目に聞こうとはどうしても思えないんですよねー。(超脱線終了)


道士郎でござる(68)
 今週の内容とは特に関係のない話ですが、神野は「敵方の殿」、つまり健助の対になる存在として物語に投入されたんじゃないかな、と最近はなんとなく思っています。道士郎やサータンを擁し磐石の体制で拡大を続ける健助殿軍団に対し、その都度立場を変え、手下を変え、戦法を変えながら絶えず挑み続ける悪の殿という役割です。物語を盛り上げるためには、今週の「ケンイチ」のバレエダンサーのように、似たような立場のライバルキャラを出すのが非常に効果的ですし。「道士郎」を健助と道士郎の世直し戦国活躍譚とするならば、他の国――つまるところは他の殿が登場してもおかしくはないと思うし、今のところでは神野が一番その立場にしっくりくるんじゃないでしょうか?

 (いや、今頃そんなこと言ってるの? とか言われたらぐうの音も出ませんけど)


見上げてごらん(29)
 一口に指導と言っても幾つかの種類がありますが、こういう「詳しい説明をあえて省く」やり口よりも、やっぱり私的には「スラダン」の安西監督のような「どんな理由で何をするのか」説明する方法の方が好きですねえ。このやり方のメリットとしては、もしパワーアップに成功すればその後の練習においても「俺には意味がわからないが、あの人を信じて練習すれば必ず成果が出る」という信頼を得られる(ので結果的に思い通りの練習をさせやすくなる)という点があるものの、やっぱ見ててあんまり気持ちの良いもんじゃないですからね……。


クロザクロ(59)
 やっぱり夏目先生にはバトル漫画を描かせない方が良いと思うのですよ……。この人の迫力の出し方は「抽象的なもので何だか良くわからん威圧感を出す」特性のものなので、具体的であるに越したことがないバトル漫画には決定的に向いていないのではないでしょうか。案外ホラー漫画なんか描かせたらハマりそうな気がします。


最強! 都立あおい坂高校野球部(39)
 このまま大仏先輩が作品内恋愛模様のキーパーソンになったら面白いなあ。
 相手チームのムードは良い感じで実に結構。対してこちらのチームへの感情移入度がだんだん目減りしてきてるのが気がかりではありますが。この漫画、プロローグ(ボマーズ時代)はもっと長くても良かったんじゃないかなあ。それこそ「からくり」の勝編くらい長くても。


からくりサーカス(機械仕掛の神62)
 相変わらずの強引な展開ではあるけれど、ミンシアだけでも尖っていたのは何よりです。彼女の心境からしてみれば、他の全員がエレを認めようとも自分だけは絶対に認められないのが自然な流れなので。恋敵にして父親の仇やファティマを殺した連中のボスにして全ての元凶(と鳴海にインプリンティングされてる可能性が大)であって自分の腕を失った理由にもこじつけられる。そりゃ憎むわ。
 当然エレにほとんど責任はないのだけれど、巡り合わせが悪いだけでここまで関係がこじれることもあるという好例(?)です。


こわしや我聞(82)
 ま、展開の巻きが巻きが巻きが……いーとーまきまきいーとーまきまきひぃーてひぃーてトントントン……(現実逃避中)
 ……いや、すいません。今更「いつの間に反仙術をマスター!?」とか「十曲味方化キター!!」とか「番司の出番少ねェ(苦笑)」とか「暴走なんてしてる描写あったっけ?」とか「オヤジしょぼすぎ」とか「七見がとっぽい」とか些細なことをどれだけ書いたところで、それら全てを飲み込んでなお余りある、ひとつのある重大な感想の前には意味がないのですよ……そしてその重大な感想にはなるべく触れたくはない、と。お察しください。

 ……自分、こんなにこの漫画好きだったんだなあ。自分でちょっとびっくりしてます。


D-LIVE!!(41-1)
 ……あれ、石巻さんって、誰? 百舌鳥さんの愛人秘書の女の人の名前は増尾さんだったはずなんだけどなぁ……はッ、もしや石巻増尾っていうのが彼女の名前なの? 伊勢七緒みたいな感じで。


ネコなび(16)
 どういうわけか、うちのねこにはマタタビが効かないんですよね……体質の差なのかもしれません。でも今回の姫程度のボケなら素面でこなすアホなので悔しくなんてないですよ。ひっくり返し放題、揉み放題、撫で放題にいじり放題。ペットとしては合格ですが生物としては明らかに失格とか言うな!


総括
 今週のMVPは「絶チル」より、すっごく楽しそうな兵部少佐と灰になって燃え尽きた葵・紫穂の同時受賞で(二人の方は上の感想では触れませんでしたけど)。こういう弱点描写は大切なことですよー。何より萌えるし。でもそれ以外は全体的にパッとしない号だった感じです。……「あいこら」は、また別として。

 そして今号で一番気がかりだったのが再び休載してしまった福地先生。マジで大丈夫なの? 次号の予告にも当然のように名前が載ってないし。先日は実家に帰っていたということなので、連載の調子が出ないというよりも何か家庭の事情があるということなのかもしれませんが、どっちにしたって心配なことには変わりありません。辛いのならしばらく休んでもらっても個人的に全く文句はないので、彼を巡る問題が早急に解決されることを祈ります。





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