週刊少年サンデー感想(2005年第48号) (11/01) 「日本刀の如き」


MAJOR(533)
 松若も駄目ですか。本当にコジローくらいしか持ち上げる気がなさそうです、満田先生。


金色のガッシュ!!(228)
 どれだけ隙ができても本と人間を直接狙わないのはもうお約束として、それを差し引いても戦闘がすっかり単なるパワーゲームと化していて少し淋しい。どの呪文を見ても効果がほとんど同じに見える……。これは良くない兆候ですよ。「ガッシュ」の戦闘はもうちょっとマトモだったはずなんだけど、やっぱりいろいろとヤバいのかなあ。雷句先生のスケジュールが。

 「王を目指すという目標」が失われていることについては、ちゃんと雷句先生の計算通りだったのですね。これは失礼しました。具体的に何が起きているのかまだいまいちわかりませんが、この線だとキース残存の目は消えた感じ。いや、むしろファウードの影響から解放されたあとパワーと自信を失い茫然自失とするキースの姿も見てみたいといえば見てみたいですが、それを作中で拝むことはないですよね……。大きな目標を描く漫画には、目標を追う者の姿を描くと同じくらい、途中で目標を失った者の末路を描くこともまた必要不可欠かなーと思わないでもないけれど。


史上最強の弟子ケンイチ(169)

 Q.「師匠がいないと活躍できない状況で、師匠のいないキャラが活躍するにはどうすれば良い?」
 A.「彼らにも師匠を与えれば良い」

 ということで、どうやらこれから各自師匠をゲットだぜの展開に持って行く模様。具体的にはマジで新白のまるごと梁山泊弟子入り展開になるんでしょうか(今週の精神論だけでは武田の現状打破の解答にはなり得ません。となると今彼の前に残されている道はもう梁山泊しかないわけで)。来週は恐らく初めての「梁山泊+新白」話になると思われるので、そこでまとめて入門を乞うのでしょうか。闇の標的は弟子筆頭の兼一だけであって、残りのザコは相手にしないだろうと割り切ってしまえば、この状況での新しい入門者を許可することもあるかな?


犬夜叉(431)
 あー蛇女が幻術で本当に良かった。でも犬夜叉や弥勒・珊瑚はともかく、かごめが人の死に対してあれだけドライになってるのは悲劇だと思えてなりません。


MAR(130)
 たぶん「魔力を帯びた植物は通常の炎や生半可な炎のARMじゃ燃やせないから今までは問題なく勝てたのだが、それを破るARMが存在するとは思ってなかったので打つ手を用意していなかったから敗北した」とかそんな感じなんだろうとは思いますが(そうでなければヴィーザルがあまりにアホすぎる)(そうであってもアホですけどね)、それくらい説明しとけよって思いました。
 というかデッドリーフィールドと枯れ木の鳥の違いが私には良くわかりません。デッドリーフィールドは弱点がないけど範囲小、枯れ木の鳥は火に弱いけど範囲大ってことでしょうか。……それならDフィールドがあればそれで十分じゃねえか……。


結界師(96)

 本当に殺しましたね。

 少年漫画では滅多に見られない貴重なもの(物凄い切れ味の演出)を見ることができて、少し動揺+感動しております。
 サンデー漫画の中では比較的キャラを大量に殺す方の藤田先生でも、ここまで描写を割いた子供キャラを殺したりはしません(どんなハッピーエンドに持って行っても、生半可な技術じゃ後味が決定的に悪くなるから)。物語を語るためなら他の全てを犠牲にするという田辺先生の覚悟を見た気がします。いやここまでされたらもう何も言えません。ただ、これで私のこの漫画に対する評価はまた上がったと思ってもらって結構です。それが少年漫画に相応しい評価(子供に夢を与える度合いについての評価)かどうかは微妙なところですが。

 今回は墨村サイドと限の関係者の描写がメインで時音の出番がゼロだったので、次回は時音と限の身辺整理の話になるのでしょうか。限の突然の転校(になるでしょうね)を誰もさして気に留めていない光景とか、片付ける前からそもそも何もない限の部屋とか、そんな部屋の中で唯一自分たちの痕跡だけを発見して思わずぐっと来る時音とか、そういったものが描かれていれば素敵だと思います(それでも時音は泣かないのがミソです)。


ワイルドライフ(136)
 別に腕輪である必要はないけれど、逆に腕輪じゃいけない理由もないので、これはこれで良かったのでしょう。


名探偵コナン(543)
 京極に対しての「自由」というツッコミはなかなか的を射ていると思いました。実際は自由というより身勝手という気がしないでもないけれど。


ハヤテのごとく!(53)
 どうでも良いことですが、学校行事に賞金を用意すること自体がそもそも間違っているような気がしてきましたよ? あーゆーのは報酬が名誉以外に何もないのがむしろ逆に良いんじゃないでしょうか。概念的に勝敗に大きなメリットを与えてはいけないはずのイベントに、わざわざ即物的なメリットを追加するのは教育上あんまり良くない気がするので(個人が勝手にやるレベル(例:勝ったらチュー)なら問題ないと思うけど、学校側がフォーマルにやっちゃなぁ)。だから百歩譲っても景品は学祭の店舗の陣地取り優先権とかそのへんで。あー心底どうでも良い感想だなあ。

 本編の方は特にこれといってコメントなし。オチも見えてるし(賞金「総額」一億五千万)、ハヤテ&ナギ組の対抗馬になりそうなのがヒナギクペア(相方のキャラが薄い)・雪路ペア(同文)くらいしかいないのでどうも盛り上がりません。今回は学園関係者だけのレースでしょうから、他の執事たちの出番はなさそうですしね。


クロスゲーム(9)
 よっ、赤石くん乙女男だねっ! と言いたいところですが、死に際の遺言だったらそりゃ気にもなるよなあ。それが好きな女の子だったのなら尚更。こういうのを呪いと言います。いや割とマジで。

 今回はむしろ光に注目すべきですかね。同じ女にホレた者同士、その一点にかけては通じ合えるはずだ……って何のセリフだったっけ。そもそもこんなセリフだっけ?


あいこら(15)
 冒頭カラー表紙すぐ横の石原さとみ写真集の広告の印刷がとんでもないことになってて怖い。

 今回はセンターカラーという晴れ舞台な割には無難な話だった印象。でもそれは裏返せば良くまとまった話だったということでもあります。変態だろうが常識人だろうが、下心があろうがなかろうが、結果的に誰も泣くことなく、みんな幸せになればそれで良かろうなのだ。特に説明もなくいきなり海の家を運営していようが、声が誰にも気付かれてないとこに無理を感じようが、天幕のパレオを一コマ描き忘れていようが、溺れた天幕の手をハチベエが掴むシーンが赤松的えろすを醸し出していようが、ちょっといい話ならそれで良かろうなのだ。


焼きたて!! ジャぱん(182)
 なんというか、これって殺人とは違うよね?
 なんか行方不明になった夫を探しに来日したヘッセ夫人と、同じく行方不明の息子を探しに来たカツヲの母親が合流してそれぞれの探し人の消息を辿るも、その末路にショックを受けて少々気が触れてしまい、元凶の東に復讐を誓う話とか思い浮かんだけどまず永久に書きません。


最強! 都立あおい坂高校野球部(41)
 相変わらず、試合が始まるとコメントがしづらい漫画です。それなりに面白いんだが。


絶対可憐チルドレン(15)
 椎名先生は久米田先生に何かシンパシーでも感じているのでしょうか。そうであったとしても不思議ではないけれど。

 「念動能力のエネルギーを放出すること=体温を放出すること」というのがどうもしっくり来ませんね。そりゃ突き詰めればどっちも熱量(エネルギー)の問題にはなるのでしょうが、念動能力は薫自身の熱量を放出する能力というよりも、薫自身のそれとは別の熱量を局所的に生成させる能力だと思っていたのでちょっと違和感があります(じゃなきゃ普段の薫は超高熱源体ってことになっちゃいかねません)。それとも薫の熱量を増幅して転送させる能力とかなんかなのかな。この辺は説明が……入んないだろうなあ。作中で解明できているとも限らんわけだし。


ブリザードアクセル(32)
 わかってないわかってないわかってヌァアアアアイ!!!
 お主はバカップルというものを何もわかっちゃいない! バカップルとは頭の悪い人間同士のカップルという意味に非ず!! 彼氏彼女の頭が春かどうかなんてことはどうでもよろしい!! 個々の頭脳レベルはともかく、接着状態でバカみたいな粘度を発揮するカップルのことを指すのだ!! バカップルをバカにすんでねぇべ!!


見上げてごらん(31)
 溝黒くんが残っているのは嬉しいのですが、こっそりもう一人残っている退場要員の彼が哀れでなりません。あと廃ビルの場所は町中じゃなくて、廃港とかそのあたりにしておけば良かったんじゃないかと思った。理由は言うまでもなく屋上から降ってくるボールが危険だから。上の人にとっても、下の人にとっても。


クロザクロ(61)
 今週のヒーローは九蓋さん、今週のヒロインは幹人。この二人は当番交代制です。


道士郎でござる(70) 健助殿萌同盟

 もうね。今更言わんでもわかるでしょうけどね。

 健助殿格好良すぎてばんじゃいしちゃう!!

 ギニャーもう殿の魅力大・炸・裂ですよ! 殿が殿と呼ばれる所以が炸裂です! 道士郎でもどうにもならないかもしれない集団を相手に十分な勝算を持って単身突撃ですよ! クールの元があったとしても、あの堂々たる態度や冷たい目はそれじゃ説明できませんから! しかもそうまでする理由が桐柳家の平和な生活のためと来たもんだ! 絶対に譲ってはならない部分(子供に薬〜)もわかっているし、チンピラの扱い方も良く心得ているし(メンツが立つように〜)、そして武士の恐ろしさを知っている者だけが吐けるハッタリでその場の空気を完全に支配、ギャング相手に完璧優勢に渡り合うも結局一緒になって武者軍団にビビる殿がどうしようもなくフゥウウウウウウウウウウウウウウ(略

 いやーでも今回の脅し方は実に理に適っていて素敵でしたよ。相手の中の恐怖をじわじわ煽って倍増させて炸裂させる手法。あの時は普段と違ったんだ、普段通りの俺のやり方なら大丈夫だと思っている相手に対して、想定外かつ理解不能の対応と態度・普段とは全く違う展開・何故か冷たい体と違和感を立て続けに植え付けることによって「いつもの通りには行かないのでは」と相手の恐怖心をじわじわ膨らませ、そこで膨らみきった恐怖心に予想だにしない方向から火をつける。そこまでくればもう相手は思考停止状態、後はそれっぽいことを適当に言っておけば勝手に恐れおののいてくれるという寸法ですよ。兄者や真理絵さんの活躍は想定外だったとしても、そこまではちゃんと計算してあったのは間違いないわけで。この策士め! おのれ孔明、謀りおったなぁああああ(落ち着いてください)

 ということで殿が実に素晴らしい回ではありましたが、エピソード的にも今回の話は最高の切れ味でしたね。まさに日本刀のような切れ味、本職のギャグ漫画が霞んで見えます……。連載が始まった頃はどうなるもんだか心配でしたが、こういう方向性で行くなら全く問題はないです。「今日から俺は!!」をさらに洗練させた方向と言うか(「今日俺」は実際かなりうろ覚えですけど)。うん、このままとことんまで武士漫画を突き詰めていっちゃってください! でもエリタンとのラブも忘れずにね! (黙れ)


からくりサーカス(機械仕掛の神64)
 えー、あんだけ引っ張って結局『理解』なのー!?
 でも他に候補はなかったしこれが無難な線でしょうか。自動人形たちがいきなり造物主を認識しているのは、そういう機構がブラックボックスの中にあったということで強引に理屈付け。藤田漫画なんてそんなもんで良いんです(これでも褒めてます)(褒めてんのか?)。

 それより私としては、今のこの漫画にはほとんど不快因子しか存在しないことの方が問題に感じられます。仲町サーカスはあまりに無力、周囲はほぼ全て無罪のエレを敵視・疎外、ミンシアは逆恨みの真っ最中、ギイやフウも役に立たない上、肝心の主人公・鳴海もあんな調子では読んでるのが辛いです。残るは唯一現実をしっかり見据えたエリ様と、突き抜けすぎててもう笑うしかないフェイスレスくらいです。こうなったらフェイスレスに癒されようか……とか冗談はともかく、主人公に感情移入できないというのはこういう状況では本気でヤバいと思うわけでございますよ。


こわしや我聞(84)
 中之井さん、そこで狙うべきなのはマガツじゃなくて牙王会長ですよ。あれだけの精度と連射能力があれば仙核を使ってもそう避けきれるものではあるまいて。


兄ふんじゃった!(38)
 20億はどうしたのだろう……。
 それはともかく、もしテルキヨが病気で死ぬなりなんなりして、兄が兄としてのアイデンティティを失ったら一体どうなるのだろう、とちょっと思ったのでした。彼は何か理由があってテルキヨ命になったのではなく、そもそもの存在理由からしてテルキヨ命だったことがわかったので。もし彼が兄ではなくなった時、そこには何か残るのだろうか? 羊でなくなった羊は、一体何になってしまうのだろうか?(と、ちょっと格好良い言い方で締めてみる)


D-LIVE!!(41-3)
 普段のエピソードなら今回のような展開はただの繋ぎになってしまって密度が薄くなりがちなのですが、社員の皆さんのキャラが立ちまくっているので読み応えがとんでもないことになっています。それこそDSRVの回の、自ら囮になって斑鳩たちを逃がそうとした誇りある潜水艦乗り(サブマリナー)たちに通じるものがありますね。この漫画は地味に捨てキャラのキャラクターが良いので、それが最大威力を発揮すると今回のようなことになるわけですか。素敵だ。

 で、謎の男の正体は……やっぱり、百舌鳥さんだったりするんですか?(たぶん違う)


ネコなび(18)
 うちのねこは喉なんてさすらなくてもゴロゴロ喉を鳴らしながら近寄ってくるんですがそれが逆に鬱陶しくて可愛いったらありゃしない。それはともかく仰向けっぷりが実に見事。姫もなかなかペットとしての素質に溢れているようです(バカとも言う)。


総括
 今週のMVPは言わなくてもおわかりでしょうが「道士郎」の殿と鎧武者の同時受賞で。「結界師」も読み応えがありましたが、あのインパクトには適いません。ああ笑った笑った。どの漫画もこのクオリティなら、サンデーもほんと安泰なんですけどねえ。





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