週刊少年サンデー感想(2006年第01号) (12/10) 「Arcadia Seen through the Glasses」

 そういえばこれで一年続いたジャンプとサンデー・マガジンの号数のズレがようやく直りましたね。
 だからどうだというわけではないんですが。


聖結晶アルバトロス(1)
 とりあえず私の新連載判定基準の第一段階(女の子が可愛いかどうか)はかなり余裕でクリアしたのでオッケーです。ゴミ子モードも姫様モードもまゆげの子もなかなかこれはどうして。でも同項目では満点に近い出来だった「我聞」がああなったことを考えると、それだけではやっていけないのは自明の理なわけで。

 中身に関しては……最近の少年漫画のダメスタンダードに漏れず、例によって「世界の合理性」がダメダメなのが気にかかりつつも、「恐怖感がないこと」をきちんと欠点として挙げているので中間点程度、かな。それ以降の展開についてはまだ判断するには早いでしょう。続きを見てから態度を決めます。先生死んじゃったのは可哀想だけど。

 (ちなみに「世界の合理性」というのは、例えば木は燃えるけどチタンは燃えないとか、鋭利な角で刺されたら吹っ飛ばされずにちゃんと突き刺さるとか、1リットルの血液を流して出血多量で死んだキャラがいるのに3リットルの血液を流して死なないキャラがいたら変だとか、そーゆー「その世界の一般常識がきちんと一定して守られているかどうか」ということです)


犬夜叉(437)
 魍魎丸戦はFF風のRPG形式バトルにすれば結構面白いんじゃないかと思った。頻繁な形態変化とか、倒し方にきちんと手順があることとか。


MAR(135)
 自分のことを語り出すのは、誰かにそれを聞いてほしいから。聞いてほしいと思っているのは、まだ救われたいと思っているから。まだ救われたいと思っているのは、まだ根っこは悪人になっていないから。とかなんとか考えましたが、この漫画にそういう深読みを行ってもあんまり意味がないのは百も承知してます。ええ。

 他は……拷問をベタ1ページの一行の文章で済ませたことは良いところも悪いところもあるのでともかくとして、それに対するメルメンバーの他人事な反応には結局ショボーン。まぁそんなところだろうね、君たちなら。

 あとは……そうそう、典型的な「○○なんてどうせみんな理論」が見れて良かったですよ。はい。


名探偵コナン(549)
 途中までは「なんともヒマな先生だなこりゃー……」とか思っていましたが、ラストのページの解説(暗号仕組んだのは浮いてる子を溶け込ませるため)を読んで己の浅はかさを認識しました。私の負けです、小林先生。あなたは正しい。


最強! 都立あおい坂高校野球部(47)
 コレはあれか、今は「器用な天才プレイヤー」として活躍してるように見えても、実は人並み以上にヘタクソだったのを仲間の支えと努力によって見事に克服したキャラだったということですか? ということで、私の中の右京株が急上昇。こういうキャラと演出は大好きです。


史上最強の弟子ケンイチ(175)
 これくらい突き抜けていればもう細かいとこにツッコむこと自体が野暮になるので松江名先生の勝ち。我々としても安心してあははと笑えます。それと今回は素で驚いた表情のしぐれどんが印象的でした。兼一も成長したものだ。


結界師(101)
 秀が良いなあ。ほんと良いなぁ。最近こういうキャラに弱くて、もう和みまくりですよ。「もー! チルノちゃん!!」って感じで超うはうはです(チルノって誰?)

 良守のキレ表情は圧巻でした。本当に怖い。こういう顔ができるようになったのか、良守は……。
 戦闘の方も相変わらず地味ながら合理性が高くて好感が持てます。


焼きたて!! ジャぱん(188)
 北海道をバカにするな!!


MAJOR(539)
 めくり演出は非常に良かったです。


ブリザードアクセル(38)
 ジャンプの解説は正直ちょっとわかりづらかったものの、そんなことはさておき「そしてアクセルは、前向きで踏み切る唯一のジャンプ!!」 のコマの黒塚さんに猛烈な既視感を感じたのはなんなんでしょうか。なんだっけなぁ、これは……。まぁ無駄に格好良いから良いか。そりゃ市川先輩も惚れますよ。ラブの匂いが、ラブの匂いが! この二人にも幸せな家庭を築いてほしいものです。

 それと前回のバカップルとの勝負の時もそうでしたけど、話のヒキを演目開始直前にもってくるのは結構素敵な演出だと思います。実際の試合で演目を始める直前の、あの独特の緊張感が上手く表現されている気がしますよ。たぶん製作サイドとしても、そのへんはこだわりをもってやってるんじゃないかな?


あいこら(21)

 (満面の笑顔で)なんだコレ(笑)。

 いやあ〜上手い言葉が見つかりませんが、ただ一言スゲエとしか言いようがないです。少年漫画もここまで来たかぁ……これは何だ、つまり私に単行本を買えと言ってるのでしょうか、変態神が。確かにこれは「未だかつて見たことのないタイプの漫画」……私の理想に合致している……!

 それはそうと、メガネはともかく私的に今回最も注目したのは弓雁の妄想暴走属性の公式強化ですね。これまではただの恋する乙女(うぉとめ)でしたが、これで変態キャラへの第一歩を踏み出したといっても過言ではないでしょう。レッスン中のノリノリの演技といい、早速習った技を繰り出す積極性といい、この娘は化けますよ。ダイヤの原石です。今はちょっと常人の五割増しくらい素直なだけですけど、そのうち自ら男を魅了する魔性の女へと華麗なる変貌を遂げ(以下略)

 ……ちなみに今回の内容、解説している内容はメガネ道としては初歩の基本ではあるものの、これはたぶん門外漢向けにわざと簡単な内容にしているだけなので(井上先生のこういう配慮は地味に侮れません)、これに対して「なんだ、大したこと言ってねーじゃん。ひょっとして井上先生って通ぶってるだけのメガネ初心者?」とか言うのは筋違いだと思います。井上先生がメガネ萌えの初心者などではないことは、コスプレパートの冒頭にいきなりメガネチャイナなる超ド変化球を投げてきたことから十分推察することができます……。


クロスゲーム(14)
 大久保さんだな!? オッケーその名前確かに魂に刻んだぜ!!
 あと「しまった……!」 の時の赤石くんのきゅ〜って目が可愛くて仕方がないです。


金色のガッシュ!! 休載のお知らせ
 あれれ、これは……なんというか災難でしたね。どうやらあまり大事ではなさそうなので、私としてはむしろ雷句先生に(ゆっくり話を考えるだけの)休みができたことが喜ばしいです。復帰楽しみに待っておりますよ〜。

 しかしアレだ、ジャンプの冨樫・星野同時長期休載はともかく、サンデーの福地・雷句同時休載は正直ジャンプの場合とは比べものにならないほど雑誌へのダメージがでかいですよね……どっちもプッシュしてる時に限ってリタイアですから。今の「うえきじ」とか見てると切なくなってきます。なんでこんなに間が悪いんだろう?


読み切り:フルメイド・ジャケット
 笑ったかどうかはともかく、個人的に結構好きな内容でした。なんというか、こう言っちゃ何ですが「ハヤテ」よりよっぽど記号の使い方が上手かったというか……ヒロインのトモコが密かに変人な上に割と可愛かったですよね(結局そこですか)! それにこっそり縞パンを装備してるあたり、結構侮れないというかこの作者のクリスタル先生は真性寄りだなぁと。


ハヤテのごとく!(59)
 んー。薄幸属性萌えの私としては西沢さんはどっちかというと好きな方のキャラなのですが、やっぱりここでも本質を見誤っているというか、薄幸属性の扱い方を何か勘違いしている印象を受けます。一言で言うなら、薄幸属性というのは「作中で作者自ら薄幸キャラを積極的に不幸にしてはいけない」んですよ。「作者の愛とか他のキャラの出演状況もろもろの都合の結果、そんな気は別になかったんだけど結果的に不幸になってる」のが良いんです。作者自ら不幸にしたらそれはただのイジメですよ。イジメじゃダメなんです。薄幸属性はその属性ゆえに「イジメの仕返し」が達成されない立場にあるキャラなので、それをやると一方的にストレスが溜まるだけですから。それじゃマズい。そうではなくて、話の都合で各キャラをこうこう動かしていたら、気がついたらあのキャラの出番がほとんどなくなっていたぞ? とか、笑い優先で展開を暴走させてたら、良く考えてみるとあのキャラはロクな目に遭ってないぞ? とかそういうのが良いんですってば。あくまで「偶然」不幸なのだからこそ、我々は憎しみではなく惜しみない愛情を抱くことができるのです。

 あ、もちろん二次創作で薄幸属性キャラがそういった扱いを受ける場合はまた話が別なので悪しからず。一見同じような扱いをされているように見えても、そこには原作者の場合と違って描き手の愛がありますから。

 (もひとつ追記:ちなみに「我聞」の番司のごとく「作者自らが薄幸属性キャラを不幸にしている場合にも関わらず愛情が感じられるケース」も確かに存在しますが、そういったケースでは扱いはひどいが出番がやたら多いとか、出番は少ないけど美味しいところをもってってるとか、そういった形で絶対に何らかのフォローが入っているので識別は比較的容易です。それはすでにイジメとは言えませんよね)


見上げてごらん(37)
 とりあえずグラサンを外すところから始めてみてはどうか。


絶対可憐チルドレン(21)
 やっぱり犯人は他にいましたか(ってまぁ他に候補いなかったし)。もっと腹の探り合い重視な話になるかと思いきや、少年誌掲載に配慮して単純なバトル形式になりましたね。ま、それで良いか。地味にちゃんと拳銃が二丁あるあたりとか、細かいとこもちゃんとできてるし(常盤さんが撃ってるのは、賢木人形から奪ったやつですね)。

 あとはこれで、一連のイベントが終了した後で二人からも皆本がモテモテ化するかどうかだけが気がかりです。皆本には三人娘や少佐・その他暴走キャラに振り回される運命でありながら、その代わりあらゆるキャラに好かれるモテモテ野郎になってほしいので。


兄ふんじゃった!(44)
 今度試してみよう。


からくりサーカス(機械仕掛の神70)
 別れの風景。さて、何人死ぬことやら……。
 ところでフウや子供達・米軍がどこへどうやって行ったのか気になります。というか何故に別行動を取るんだろう? 先行部隊が敵の陣形を薙ぎ払い、その中をシャトル部隊が安全に移動するのならわかるのですが……ああそうか、別働隊は空を使って移動するんだな。それならシャトルを陸路で運ぶ部隊は別に動くしかないのも納得です。って本当にこれで良いんですよね?


道士郎でござる(76) 健助殿萌同盟

 Q.いろいろあって、ヤクザとひと悶着起こしました。ヤクザは多くの友人を卑怯な手でボコボコにブン殴って大怪我を負わせ、自分の好きな女の子を手元に縛り付けて逃がさないつもりです。すでに友人や家族は自分のせいでかなり酷い被害を受けています。でも、このままでは相手は何も罰されることはなく、今のままのうのうと悪事を働き続けるでしょう。さあここで、あなたならどっちを選ぶ?

 A1.そんな奴は野放しにはできない、何より女の子がそれじゃ可哀想すぎる。家族や周囲の人間にどれだけ迷惑がかかろうが知ったこっちゃない、こうなったら徹底抗戦だ。こちらには最強の男もいるからきっと勝てるだろう! 正義は勝つに決まっているさ!

 A2.そいつを放っておけないのはわかるが、このまま戦い続けると自分の周囲がどうなるかわからない。だからこれ以上誰も傷付けないため、ここは涙をのんで降参、泣き寝入りだ。女の子のことは見捨ててしまおう、可哀想だけどそれはボクのせいじゃないからネ。

 ……なんて言うか、これって少年漫画で扱うべき問題じゃないですよね。どっちを選んでも主人公として問題がある。今回殿が選んだのはA1ですが、それはどういうことかというとつまり上のようなことなので、手放しには絶賛できません。かといってA2一択の選択肢かというとそういうわけでもなく、そちらはそちらで無条件の賛同は到底不可能。しかしどちらかは選ばなければならない……難しいなぁ。どちらでもない選択肢は……現状では考えられないし。つくづく「少年漫画で扱うべき問題」ではないと思います。

 でもまぁ、結局はどっちを選ぶにしろ覚悟の問題なんだろうなぁ、と思います。「俺はヤクザを叩き潰すために家族を巻き込む!」と大声で宣言してA1を選ぶ覚悟と、「俺は家族の平和のために女の子を見捨てた!」と大声で宣言してA2を選ぶ覚悟。それが現状唯一の「責任ある対応」、なんでしょうか。ああつくづく少年漫画に向かない題材だ。


クロザクロ(66・最終回)
 ということでエピローグ、みんなそれぞれの生き方を見つけて幸せの中へと溶け込んでいったのでした。まさかここで榧&丁字がフォローされるとは。最終回としてはまぁ悪くなかったです。流石に「我聞」の最終回に比べればアレですけど。でもザクロが女だったとは思わなかったなぁ……。

 それで総括ですが……なんというか、これはあんまり根拠のある話ではないんですけど、私の感覚としては「夏目先生の資質と漫画のジャンルが最後まで拒絶反応を起こし続けていた漫画」だったなぁ、と。前にもちらっと触れたことがありますが、夏目先生の真価は「具体的・説明的ではなく抽象的・感覚的な描写能力、特に恐怖の描写能力」にあると私は思っています。これはホラー漫画に最も適した資質なのですが、残念ながら具体性が重要な少年漫画、とりわけバトル漫画とは相性があまりよろしくないんですよ……。そのへんで最後まで消化不良を起こしていた気がします。だから初期の「まだあんまり物事を説明しなくて良かった頃」はその資質がなんとも言えない圧迫感としてプラスに働いていても、中期以降の展開ではその資質が逆に大雑把なバトルや設定説明・感覚的(≒適当)なキャラ配置などにマイナスとして出ていたのではないかと思うのです。まぁ、途中で明らかにシナリオが大幅に端折られたことは、それと関係あるのかどうかわかりませんが……。

 ということで結論は、次はもちっと違う方向の漫画で来てほしいなぁ、あたりでしょうか。それを編集部が許してくれるかというとそれは厳しい気もしますが、現状の問題点を改善しないまま、また今回や「トガリ」と同系統のダークバトル漫画で来ても同様に返り討ちに遭うだけだと思うので。折角良いところはある人なんだから、その長所を活かした漫画を模索してほしいものです。……夏目先生は、ひょっとして少年誌より青年誌の方が向いてるんじゃないかと思いつつ。


D-LIVE!!(43-1)
 あれからいろいろ考えたのですが、斑鳩の弱点はひょっとすると「シンクロ率が高すぎて、乗り物と完全に同調する=運転以外のことが何もできなくなる」ということなのかなぁ、とちょっと考えています。運転中は武器を使えないのはもちろん、乗り物と文字通りの一蓮托生の運命に身を委ねてしまう危険。対してロコはもっとフレキシブルに武器を使ったり乗り物を利用したりして、乗り物一辺倒の斑鳩とはまた違った戦い方ができる、とか。うーん、イマイチ。

 本編の方は……少なくともあっきーは何の心配も要らないと思います。あの程度のミサイル、吸収しちゃうんじゃないですか?


ネコなび(22)
 えっとですね。ふざけんな。


総括
 今週のMVPは「あいこら」の弓雁で。もう辛抱たまりませんよあんなの見せられちゃ。このままどんどん暴走して突っ走っていってほしいものです。もう地味だのキャラが薄いだの、そんなことは言わせない!

 さて、冒頭でも告知しましたが、来週の感想はたぶんお休みします。あるいはその次の号のやつと一緒に簡単に書くこともあるかもしれませんが、いずれにせよ22日、再来週の木曜日にあるでかい予定が片付くまではサイトの更新には一切手を出さないのでご了承くださいませ。更新再開は早くても24〜25日になるかと。ではでは〜。





トップに戻る